メモ帳

アニメ・ゲーム系のすきな音楽を紹介します

2020年の良い曲

早いものであっという間に年末になってしまいました。

なかなか外へ出づらい状況だったこともあって例年以上に淡々と日々が通り過ぎていったような感覚がありますが、さらに12月前半は少し入院してしまったこともあり、気がつけば2020年も数日しかないという状況で、急かされるようにこの記事を書いております。

さて、今年もいわゆる10選を悩みながら考えてみましたので、簡単にご紹介していきたいと思います。今になって慌てて鍵盤を片手に鳴らしながら書いておりますので、例によって間違いも多々あるかとは思いますが、軽くお読みいただければ幸いです。

並びはだいたい文章の短い順です。

 

  1. 遊泳
  2. ごく平凡な青は、 
  3. re: fruition
  4. NEXT COLOR PLANET 
  5. Brand new!
  6. 23時の春雷少女
  7. ゴールデンスパイス
  8. SING A SONG
  9. Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)
  10. エンディングノート

 その他選外の紹介曲:

「Joker」

「Domestic Force!!」

「RISE」

「思い出のカケラ」

「ぐっばいおぶじぇくしょん」

 

 

1.遊泳

早見沙織

作詞:早見沙織 作曲:堀込泰行 編曲:倉内達矢

シスターシティーズ(アルバム) Tr.4

キリンジ堀込泰行さんからの提供曲。アレンジに早見さんの曲に多く関わってきた倉内さんが入っていながら、もはや堀込さんの歌そのものというようなレベルで自然に落とし込まれている高次元の仕上がりです。

サウンドと言うまでもなく極めてハイレベルなボーカルで、水面下のゆらぎを表現した圧巻の曲です。

 

 

 

2.ごく平凡な青は、 

CYNHN

ごく平凡な青は、(シングル) 収録 Tr.1

作詞:渡辺翔 作曲:渡辺翔 編曲:eba

このブログで紹介する範疇かという点では少々微妙なのですが、素敵な曲なので取り上げることにします。渡辺翔さんがプロデュースを手掛けるヴォーカルユニットCYNHN(スウィーニー)のシングルです。

ebaさんのアレンジらしいバンドサウンドの曲で、一聴すると各楽器が雑然とパートを鳴らしているように聞こえるのですが、全編を通して聞くと一つの楽曲としてしっかりと構成されているような、不思議な感覚の曲です。理論で精緻に組み上げられたアレンジではなく、グルーヴによってまとめ上げられた音というのはこのような印象を与えるのでしょうか。

ギターはebaさん自身が弾いているほか、ベースとドラムはロックバンド ヒトリエの2名によるものです。

Gt:eba Ba:イガラシ Dr:ゆーまお

 

 

 

3.re: fruition

DEZOLVE Feat. やなぎなぎ

作詞:やなぎなぎ 作曲:山本真央樹 編曲:DEZOLVE

 Frontiers(アルバム)収録 Tr.3

 

私の好きなドラマー山本真央樹さんが所属するフュージョンバンド DEZOLVEの最新のアルバムで、バンド初となるボーカル曲にゲストとしてやなぎなぎさんを迎えた一曲です。氏のツアーのサポートバンドとしてDEZOLVEが関わった縁とのこと。*1

フュージョンバンドとしてのテクニックが惜しげなく注ぎ込まれたサウンドに、速いフレーズの難しさを感じさせないような疾走感のあるボーカルが融合した極めてハイレベルな曲に仕上がっています。

ベース小栢さんは昨年から山本さんと共にスタジオミュージシャンやサポートバンドとしての活動も増えてきていましたが、体調を崩されて離脱されています。可能であれば回復して復帰されることを楽しみにしています。

Gt:北川翔也 Key:友田ジュン Ba:小栢伸五 Dr:山本真央

 

 

 

4.NEXT COLOR PLANET 

星街すいせい(hololive)

作詞:星街すいせい 作曲:酒井拓也Arte Refact) 編曲:酒井拓也Arte Refact

デジタル配信

6月にVtuberの曲を取り上げたエントリでも紹介しましたが、

やはり素敵な曲ですので10選として再登場です。

以下コメントは前記事の再掲です。

 

最近気になるVの曲とクラブミュージックについて - メモ帳

 

軽快なスラップ・ベースと生ブラスでとてもきらびやかな印象ながら、シンセベースと重いキックが上手く組み合わせられているハイブリッドなトラックです。ボーカルとピアノだけで始まるイントロから、シンセ、生音と段々音数が加わっていく構成は期待感が高められてとても好きです。最近のイノタクさんの曲にも多いパターンな気がします。

作編曲はランティス作品でおなじみのArte Refact 酒井拓也さん。どちらかというとアレンジが多いイメージですが、今回は一人で作曲から手がけられています。

星街すいせいさんはこの曲を聞くまで名前も存じ上げませんでしたが、前回の曲はキタニタツヤさん提供とのことで、今後の楽曲的にも気になっています。

Trumpet:吉澤達彦、具理然(Lowland Jazz)

Alto Sax:丹澤誠二(Lowland Jazz)

Trombone:石川智久(Lowland Jazz)

Guitar:中嶋康孝 Bass:小林修

All Other Instruments & Programming:酒井拓也Arte Refact

 

 

 

5.Brand new!

辻野あかり(CV:梅澤めぐ)、砂塚あきら(CV:富田美憂)、桐生つかさ(CV:河瀬茉希)(アイドルマスターシンデレラガールズ

作詞:烏屋茶房 作曲:烏屋茶房、篠崎あやと、橘亮祐 編曲:篠崎あやと、橘亮祐

Never ends & Brand new!(シングル)収録 Tr.2

 

ここ数年シンデレラガールズへの提供が増えた3名によるコライト曲です。 

今年新たにボイスが実装された3人が初めて歌う曲ということもあり、フレッシュさが前面にくる爽やかなアレンジです。

サビでは前半の進行に対して後半は大きくリハーモナイズされていて、前半の一回目に対して予想を裏切る形で複雑な和音が鳴るところが気持ちいいです。また、サビに入った瞬間に一瞬ほとんどのオケが鳴らないポイントがあるのですが、そこでメロに合わせて動くベースもたまらない点ですね。

富田美憂さん、河瀬茉希さんの少し低い声をベースに、梅澤めぐさんの明るい声が時折入るバランスが素敵です。2Aでラップ調になる展開は珍しくないと思いますが、声の聴かせ方として上手い構成だと思います。

All Instruments & Programming:篠崎あやと、橘亮祐

 

 

 

6.23時の春雷少女

鬼頭明里

作詞:田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:やしきん、成田ハネダパスピエ

STYLE(アルバム)収録 Tr.7

声優ユニットDIALOGUE+のプロデュースはじめ、今年もますます精力的に活動を続けるUSG田淵智也による提供曲です。

USG曲でもよく手を組んでいる盟友やしきんに加えて、パスピエ成田ハネダも加わった3名による相乗効果で、田淵節ともいえるメロディの強さは残しつつ耳に新しい印象のサウンドに仕上がっています。

特に耳に残るのがサビの和音で、6小節目までは [ ] - III(C#) -VI(F#)という動きを基本にテンションが加わって、どことなく重い感覚の音が続くのでですが、7小節目からはI(A)とIsusを行き来する展開となり一気に明るく変化する印象を強く感じます。一聴しただけでもフックとして耳に残るところではないでしょうか。

Pf,Synthesizer:成田ハネダ Ba:工藤嶺 Dr:髭白健 OtherInst:やしきん 

 

 

 

7.ゴールデンスパイス

GEMS COMPANY

作詞:辻純更 作曲:瀬尾祥太郎(MONACA) 編曲:瀬尾祥太郎(MONACA)

precious stones(アルバム)収録 Tr.11

MONACA岡部啓一さんが音楽プロデュースを手掛けるVTuber集団、GEMS COMPANYの全体曲です。GEMS COMPANYでは新鋭瀬尾祥太郎さんがユニット・ソロ問わず多くの曲を書かれており、歌モノよりも劇伴での活躍が目立っていた瀬尾さんの曲を聴き込める絶好のグループです。 

昨年10選で紹介したDESIGNED LOVEはクールな曲でしたが、こちらは全体曲ということもありMONACA諸先輩方、特に秀和さんの アイカツ!「オリジナルスター☆彡」、Wake Up, Girls!「極上スマイル」などのエッセンスを感じるややアップテンポなトラックです。

m7-5(ハーフディミニッシュ)や分数コードを多用されるところも諸先輩と近しい部分ですが、サビ6/12小節目でルートの音が急に低くなるあたりなどは瀬尾さん独特な鳴らし方に感じます。今後も新曲が楽しみです。

Gt:後藤貴徳 Ba:鹿島達彦

 

 

 

8.SING A SONG

Mics!!

作詞:Nor 作曲:Nor 編曲:Nor  AdditionalArrangement:堀江晶太

April - EP Tr.2

つい最近まで全く知らないコンテンツでしたが、今年始まったマンガとバンドを連携させた新プロジェクトのようです。

1stEPとして発売されたこの作品では、トラックメイカーYUC'e・Nor(beignet)、ボカロで主に活躍されるYASUHIRO、近年各種アニソン提供でお馴染み烏屋茶房・篠崎あやとなど多方面のクリエイターが参加されています。

その中でこの曲はクラブミュージックではお馴染みNorさんが作編曲を手掛けながら、アレンジに堀江晶太さんが加わってバンドサウンドにまとめ上げられている少々異色の曲ではないでしょうか。

イントロでは打ち込みのピアノと時計の音色で電子音楽感を漂わせながら始まりますが、堀江さんがベースを務める PENGIN RESEARCHのドラム新保恵太さんによる生ドラムが加わり、一気にバンドサウンドの雰囲気に変化していく展開が心地いいトラックです。

落ちサビでかなりのハイフレットまで流れるように動くベースラインも必聴です。

Gt:yu-ya Ba:堀江晶太 Dr:新保恵太

 

 

 

9.Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)

東雲和音(CV:天音みほ) (電音部)

作詞:MC TC 作曲:TAKU INOUE 編曲:TAKU INOUE

デジタル配信

バンダイナムコによって満を持して始まったプロジェクト電音部の最初期に公開された一曲です。

各アーティストやシンデレラガールズ等のコンテンツに本格的なEDMを次々と提供してきたイノタクさんですが、今回はそれに生音のサックスを全面的に加えて独特な大人びた雰囲気を作り上げています。太いベース音と軽妙な木管の音の絡み合いが心地いいトラックです。

イントロ、2A、アウトロなど全編に渡ってこまめに水音が加えられているところも印象的です。氏の曲では雨音のように聞こえながら実はノイズを加工して作られた音が乗っているなんて例もありましたが、今回も作られた音なのかサンプリングなのかが気になるところです。

また、サビ終わりの文字が詰まったメロを軽々とリズムよく歌いこなす天音みほさんのボーカルがしっかり頭に残ります。

特に好きなのが1サビの終わり

ねえ もっと歪な秘密が欲しいの

の部分で、いびつな(i -i tsu -a) ひみつが(-i -i tsu -a)としっかり韻を踏んでいるほか、"び" "み"の部分にやや強いアクセントを置いて、"もっと"と続けて2音節のフレーズが3連で続いているのような印象を与えている気がします。

譜割りの絶妙さもまた持ち味ですね。

 

電音部はMoe Shopさんのgood night baby

good night baby - song by 犬吠埼紫杏 (CV: 長谷川玲奈), Moe Shop | Spotify

ケンモチヒデフミさんのいただきバベル

いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ) - song by 黒鉄たま (CV: 秋奈) | Spotify

など他にも秀逸な曲がたくさんあります。今後も楽しみなコンテンツです。

A.Sax:武島聡 

 

 

 

10.エンディングノート

鹿乃

作詞:鹿乃 作曲:田中秀和(MONACA) 編曲:sugarbeans 

コーラスアレンジ:伊沢麻未

yuanfen (アルバム) 収録 Tr.9

 

田中秀和さんがボーナストラックを除く全曲のプロデュース・作曲を手掛けたことで話題となった鹿乃さんの4thアルバムの最後に収録された曲です。

編曲を他のミュージシャンに任せることの少ない秀和さんとしては珍しく、新しく制作された9曲のうち7曲でさまざまな方がアレンジで参加しており、非常に聴き応えのあるアルバムです。どの曲も大変に素晴らしく、自身でアレンジされ、ここ数年のお家芸ともなっているブラジルミュージック+プログレッシブな雰囲気のTr.3「yours」、アレンジの曽我淳一さん初め熟練のミュージシャンによって何とも切なげに仕上げられたTr.6「漫ろ雨」の2曲がとても気に入っておりますが、その中でも最も心に残った曲として最後に収録された「エンディングノート」を選出しました。

エンディングノートというタイトルが示すとおり、一聴すると明るいサウンドの中にも、繊細なボーカルや楽器の乗せ方によって「漫ろ雨」以上の切なげさ、さらに言うと物悲しさを訴求してくるトラックです。

音の構成としてはシンプルで、ボーカル+4リズムのベーシックなものに厚いコーラスが乗る形ですが、各パートが引き立てられより一音一音の気持ちが伝わるように感じます。秀和さんの曲への参加経験が多く、引き出し方をより理解されているsugarbeansさんならではの渾身のアレンジです。

また、秀和さんの曲としては珍しくメロディの臨時記号が非常に少ないです。昨年の10選「土曜日のフライト」のコードワークでも触れましたが、アーティストの心情を最大限に乗せる曲では、自身の特徴とも称される複雑な和音や半音のアプローチを抑えて、メロディで勝負できる点に大変な懐の深さを感じられます。

間奏開けのいわゆる落ちサビが特に気に入っている部分でして、スタートはボーカルの他にはピアノとごく短いベースのみが乗って始まり、2フレーズ目では最低音A#3から最高音D#5まで一気に駆け上がるメロに対比するように、長く響くベースが下がっていくところが非常にドラマチックです。

また、この落ちサビのメロディは跳躍が多く、歌ってみると音程を取るのが難しいのですが、声量を張らずに雰囲気をしっかりと表現したボーカルも秀逸です。

 

さて、このアルバムの制作経緯については、鹿乃さんと秀和さんの対談という形で詳細なインタビューが掲載されており非常に参考となりますが、*2

インタビューのタイトルを初め文中でも繰り返し登場するのが"死"との向き合いというキーワードであり、本曲はそのコンセプトに対して最も直接的なアプローチを感じさせるものです。

秀和さんが質問に答える中で

実はこのレコーディング中は、僕らの間で、「死」というものへの気持ちが共有できている時期だったんです。

という一節があります。レコーディングされたいた1年前は、丁度昨年のブログを書いていた時期にあたります。一リスナーでしかない私たちにとっても、何となく”死”への気持ちが自分のものとして認識できていたころではないでしょうか。この点を踏まえて向き合うと、音と向き合うことがより思索的になる一曲であると考えています。

 

Gt:堀崎翔 Ba:千ヶ崎学 Dr,Pf,Other Instruments:sugarbeans

 

 

 

本文で紹介できず選外となった曲を他にもいくつか紹介したいと思います。

Joker松永涼大和亜季中野有香姫川友紀前川みくアイドルマスターシンデレラガールズ

作詞:渡辺紫緒 作曲:田中秀和 編曲:田中秀和

【アイドルマスター】「Joker(M@STER VERSION)」(歌:松永涼、大和亜季、中野有香、姫川友紀、前川みく) - YouTube

秀和さんのシンデレラガールズ提供曲としては珍しくマイナー調の曲。yuanfenが今年リリースでなければ10選に入れていたであろう非常に私好みのサウンドで、特に間奏がたまりません。最近組むことの多いAireさんと親交のある安藤河音さんがギター・ベースを担当。

 

Domestic Force!!」DIALOGUE+ 

作詞:津野米咲 作曲:田淵智也 編曲:eba

Domestic Force!! - song by DIALOGUE+ | Spotify

衝撃的なイントロのセリフから怒涛の展開を見せるアレンジ。ファーストインプレッションの強烈さと絶妙にまとめられた各パートのバランスが秀逸です。こちらもベースでヒトリエのイガラシさんが参加。

諸事情で少し聞くのに気持ちの準備が必要な曲でもあります。

 

 「RISE」supernova(ラピスリライツ)

作詞・作曲・編曲:DJ'TEKINA//SOMETHING

RISE - song by supernova | Spotify

奇をてらったところなくハイレベルに仕上げられたクラブミュージックだと思います。

 

思い出のカケラ水瀬いのり

作詞・作曲・編曲:遠藤直弥

思い出のカケラ - song by Inori Minase | Spotify

同じシングルに収録されたクリスタライズも素晴らしい曲ですが、遠藤さんの作るバラードはシンプルでスッと入ってきます。

 

ぐっばいおぶじぇくしょん」AiRBLUE Wind(CUE!)

作詞:針原翼、セツコ 作曲:針原翼 編曲:棚橋EDDYテルアキ

ぐっばいおぶじぇくしょん - song by AiRBLUE Wind | Spotify

恥ずかしながらクリエイターの方を全員知らなかったのですが、聞いた瞬間に引き込まれる力がありました。

 

最後に、私が今年一番Spotifyで聴いた曲はこれでした。

open.spotify.com

…去年と同じですね。

原曲も含めて何年聴いても色褪せない本当に素晴らしい曲だと思います。

 

 

それでは。